【家電収納】キッチン家電を扉で隠す!【軸回し扉】のススメ!!

詳細検討部

キッチン造りにおいて、レイアウトを決める際の要素の1つとして、『家電位置の検討』があります。

家電位置の希望が、希望レイアウトに順応できる内容なのかどうかが重要です。

●家電の内容・台数とサイズ。
●見せるor見せない。(見せたい、見せたくない)
●誰がいつ、どこで使うのか。

など様々な角度から希望を含め考慮し、適切な家電スペースを適切な箇所へ設置出来る事(適材適所)が美しいキッチンを造る条件の1つです。

そんな家電収納で、私(オーダーキッチン営業歴13年)が良く提案し、採用頂いている『家電を隠す』内容の1つ【軸回し扉】について詳しく説明します。

【軸回し扉】

「軸回し」と聞いて、どのような収納扉かパッと分かる人はそこまで多くはないと思います。

軸回しで想像できる方の多くは
「仏間に設ける観音開きの扉で、扉を開いた状態で、扉が邪魔にならないよう、扉をスライドして格納できる扉」
をイメージされるかと思いますが、その仏間も現在では少なくなってきているかな。と思うので、知る機会が更に減っていると思います。

他の言い方では『垂直収納扉』という言い換えも出来ます。【スガツネ工業株式会社】さんはこの名称で商品展開されています。

キッチンでは『家電を隠す』内容は『隠したい家電の量・使い方』で隠し方が変わります。

個人的に最も採用率が高い仕様で、様々なメリットがあるのが、この『軸回し』タイプの仕様です。

ここでは私が良く使う【株式会社ハーフェレ ジャパン】さんの取扱い金物をベースに、写真も利用させて頂き、今回は【コンセプタ】という軸回し扉をベースに解説します。

【コンセプタ】 木製収納引戸, Hawa コンセプタ 25/30/40/50

これは扉を開けた時のイメージで、扉を閉めると上から下まで隠れる内容。

図面で見るとこんな感じ⤵

上が立面、下が平面のイラスト、矢印の開け方をした後、扉を奥に押し込む動作を加え、扉が収納側へと入る仕組み。

これが【コンセプタ】や【垂直収納扉】と言われる軸回しの動作イメージです。

【コンセプタ】では、25/30/40/50の4種があり、それぞれの数値が扉重量となっており、それぞれに扉高さ・幅の最大値も設定があります。

■対応扉高さ
25:1250~1850mm
30:1851~2300mm
40:1851~2500mm
50:2301~2850mm

■扉幅
300~900mm

■扉厚
木:19~30mm

重要な数字は上記内容と、それぞれに対して扉の引き込み量(扉出寸法)があります。
詳細につきましては、ハーフェレ(若しくはスガツネ)HPにてご確認下さい。

では、ここからはメリットを2点と参考プランを2例、またデメリットも合わせて紹介します。

メリット①【多くの収納量が一度に確保出来る】

扉を開けたときのイメージを見てもわかるように、大きな開口を設けることが可能なので、自身の家電量や使い方に合わせて内部をカスタマイズさせるだけで、普段は開けっ放し、来客時等は閉めて隠す。という使い方が出来ます。

アイレベル位にはオーブンレンジを設置、その下に炊飯器やケトル、トースター等、またそれ以外の箇所も収納に出来るので、あまり使わない卓上家電や、ストック品・食器等の収納とする感じです。

大きな開口は色々と出来る幅が広がり、メリットが大きいですが、デメリットとしては、逆に必要でない箇所も開いてしまう。という事があります。

これを解決するには、扉サイズの対応可能範囲があるので、見た目重視で進める場合は上から下(トール仕様)まで1枚の大きな扉で対応し、開ける範囲を限定したい場合はサイズを調整して、家電部のみ開閉出来るサイズにて検討を進める事も可能。

下記写真はコンセプタを使用した収納。(写真:kitchenhouseさんショールーム)
コンセプタと通常扉の割付例です。(上のイラストと同じような収納割り付け)

また内部をカスタマイズすれば、大きな扉を開けた内部にも更に扉を設ける仕様にすれば、二重扉で使い勝手は少し悪くなりますが、完全に閉めた時の見た目も、軸回しを開けた時でも内側の扉で家電部以外は隠れているので、開けている時も綺麗な状況で家電を使用出来る。そんな対応が出来るのも魅力的です。

■カスタマイズ例【炊飯器を収納したい】

蒸気が出る機器は内部での使用は扉が開いていても、そのまま中で使用する事はNGな場合が多く、スライド棚を付けて、炊飯中は出しておく必要があります。

が、レイアウトによりますが、一般的な配置で進める場合は通路に重なる率が高い為、「スライドを出したくない!」という方は蒸気排出ユニットを付ける事で、炊飯中、扉は開けるが、スライドはしなくても問題なく炊飯器を稼働させることも出来ます。

良く提案するのは金澤工業さんの蒸気排出ユニットです。

※画像は下記リンク先の内容です。

最近は蒸気レスな炊飯器もあったりするので、家電選定時はそのあたりまで意識すれば完璧です。

注意点としては、蒸気排出ユニットは機器なので、サイズが3種決まっており(600/750/900mm)各サイズに合わせて収納サイズを決めないといけないので、幅に関しての融通が利かなくなります。

また、高さ方向も蒸気ユニットは脱着出来ないので、庫内の有効高さについても入れる家電に応じて、初めから明確にしておかないと家電が入らない。という事態になれば、収納内部の作り直しになる事もあるので、注意が必要です。

なので、採用検討される場合は、家電のサイズ確認とキッチン図面でどの程度の高さが確保出来ているのか。という点も合わせて確認が必要です。

他には『冷蔵庫を隠す』なんて荒業をする場合もあります。

これは買い替え時のリスク(サイズ変動)及び、排熱スペースなども考慮しないといけないですし、収納扉を開けて、さらに冷蔵庫の扉も開ける必要があるので、来客時に隠すあまりオススメではないです。

が、意匠性が最重要なキッチンでは、対応する事も可能です。

※冷蔵庫を隠したい場合は『ビルトイン冷蔵庫』という選択の方が都合がいい場合もあります。
(ビルトイン冷蔵庫については追々、書きます)

メリット②【扉割付が容易に出来る】

扉幅が300~900までと、選定幅が広く、綺麗に割り付ける為のサイズが網羅されています。

扉高さも、通常の住宅で多い天井高さが2400~2500なので、30-40の選定で天井までの内容を概ねカバー出来る仕様となってます。

足元の巾木寸法、天井との間の幕板を考慮すると、30の扉高さ2300でも十分対応可能な内容になります。

分かりやすく、ざっくり総幅3000mmの収納スペースがある場合、600mm幅の扉割で5枚設定、その内2枚をコンセプタで観音開き仕様にする事で、他は通常の開扉収納で対応し、見た目は全て同じ、使い勝手はご自身の希望の位置での対応が可能です。
※実際の有効が3000mmピッタリの場合、基本的には両サイドに調整材を入れる必要があるので、厳密には600×5割は厳しいので注意。

※デメリットとしては、コンセプタを使う収納の内部有効幅は他の収納とは異なり、扉が入るスペース+金具等を取り付ける側板などの寸法分、小さくなるので、中に収納される物が決まっている場合は、家電サイズ等を確認した上で、割付の検討が必要です。

家電によっては『離隔距離:左右50mm、上方100mm、背面0mm』等、各固定物から離さないといけない距離の設定があるので、それも考慮した上での寸法設定が必要です。

上記2点のメリットにより【大きく】【綺麗に】設置が可能で、【ある程度内部で融通の利く】家電収納スペースが生まれます。

参考プラン例

さて、ここからはざっくり図面による提案内容を数点書いていきます。

■まずはシンプル且つ、王道のトール収納に組込例【≒W3600xD650xH2400】
W1200の収納(扉幅600×2)を3か所6枚割付。(※W=幅、D=奥行、H=高さの略語表記)

扉の出は【T=扉幅-M+73】【E=T-73】の式に当てはめると算出する事が可能で、出を0にしたい場合、M=0を入れると必要奥行が出ます。
(T=金物が取り付く奥行寸法)(M=扉の引き残し量)(E=扉の最大引込量)

今回、Tは650なので、出を検討する簡単な方法は【E=650-73】となり、600扉幅に対して、引込量が577なので、出は23mmと計算されます。

また出を0にしたい場合の計算は【T=600-0+73】T=673となり、673mm以上の収納奥行が必要。ということになります。

参考に扉の出の写真を添付します。(写真:kitchenhouseさんショールーム)

 

扉の出を0にする場合、開けている時は綺麗に収まりますが、ハンドルをどうするか次第で、対応困難な場合もあるので、開閉方法についての考慮も出幅調整する際には注意が必要です。

■次はトール収納+セパレート収納の組込例【≒W3400xD600xH2400】

W900のトール収納(扉幅450×2)、他はカウンタータイプで、見せる家電・隠す家電を分ける仕様で、採用の多い内容となってます。

カウンターの上に置く事を良し(見せる家電)とする場合、意匠的・使い勝手的にこのようなプランニングは良い所どりで両立しているため、オススメ出来ます。

こちらも先ほど同様、扉の出を計算すると、【T=450-0+73】【E=600-73】となり、T=523あれば、扉の出を0に設定出来、今回は収納奥行が600なので、E=527のまま付けると扉幅450の場合、マイナス域になるので、取付位置の調整を行い、0若しくはハンドル分を出す位置の設定で加工が必要になります。

あとは扉高さも制限があり、コンセプタ25だと高さ1250~1850mmなので、小さい家電収納を希望される場合は、違う開閉方法や違う金物の選定が必要です。

このプランでは、巾木部と引出の上に家電収納を設けており、その上にも収納があるプランで、コンセプタ25の場合は最低高さ1250は必要なので、吊戸高さ設定を1650として、1650-1250=400が残り下部スペース。

巾木が100の場合、引出が300となり、家電を使う部分の高さは内部にスライドを入れると、床から約480程度となります。

まとめ

家電収納は様々なメーカーが色々な方法で対応しており、メーカー限定仕様の物もあれば、このように金物メーカーが出している物を組込めるかどうか。という事になりますが、今回はシンプルで採用率も高い【コンセプタ】の紹介でした。

採用時の注意点は各扉重さに対しての対応範囲があり、高さもそれぞれに対応可能範囲がある。
■対応扉高さ
25:1250~1850mm/30:1851~2300mm
40:1851~2500mm/50:2301~2850mm

■扉幅300~900mm

上記を念頭に置いた上で、
①内部に入れたい(隠したい)家電を選定
②置きたい場所・位置を確認
③それに適合した金物選定を行う

の3ステップで対応検討してみてください。
(間取りの制限がある場合、逆の手順でも良いかもしれません)

スガツネさんのHPに閉めたところ・開けたところの分かりやすいイメージがあったので、参考にしてみてください。


※内部の使い方・割などはご希望に合わせて、対応可能なメーカーと要相談で決めましょう。

他にも様々な方法で家電を隠すことが出来るので、また記事にまとめていきます。

この記事があなたのステキなキッチン造りのお役に立てますように◎

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