キッチン営業を12年している私でも「リフォームは新築より難しい!」と良く思います。
ですが「え?もうすでにあるキッチンや間取りがそのままだから、そんなに難しくないでしょ?」と思われている方がまだまだ多いのが実情。
何故難しいかというと『既存利用』をどのように考えるか。
という事になりますが、多くの方が一般的な量産型キッチンを使われており、それを変える。と考えても、同じ思考でしか物事が判断出来ず、結局同じようなキッチンを『入れ替え』で終わってしまう。ということになります。
今のキッチンが気に入っていれば、同じメーカーに同じ形のキッチンが新しいモデルであると思うので、単純な『入れ替え』のリフォームが一番合理的でコスト面でもオススメです。
ですが、気に入らない。若しくはもっと使い勝手良くしたい・デザインを拘りたい等の場合、内容を改善するためのリフォームになるので、それがレイアウトなのか、収納量なのか、使い勝手なのか、デザインなのか。そしてそれらを叶える為には【オーダーキッチン】というワードが出るか出ないかで大きく変わります。
【オーダーキッチン】という選択肢が加わると、見える景色が確実に変わります。
ということで、【オーダーキッチン】をおすすめする理由を3つに分けて書いていきます。
0(ゼロ)から生み出せるかどうか。
そもそも一般的なメーカーキッチンとオーダーキッチンでは考え方がそもそも違います。
キッチンを『物』として捉えるのか、『事』として捉えるのか。ということです。
一般的なメーカーキッチン
『どのキッチンにしよう』という【物】視点でキッチンを考える傾向が強いです。
「このキッチンだと、こういう生活が出来ます」
「ここにはお鍋やフライパンをこのように収納していただきます」
「家電はここで、この程度の内容が置けます」
など、【物】としてのキッチンをどう使ってもらうか。あるキッチンにお客様が合わせて使う。という流れになります。
沢山の実績をもとに、世間一般的に受けのいい内容を集めて作られているので、多くの方に対して、50点以上の成績を常に出せる。という感じでしょうか。
そんなメーカーがたくさんあるので、あるメーカーでは50点だったが、違うメーカーでは70点。
で、早く工事をしたいから70点でいいか。となって決まっていくケースも多く見受けられます。
オーダーキッチン
一方【オーダーキッチン】の場合『どのように使いたいか』という【事】が重要になり、全く違う視点でキッチンについて考える事が出来ます。
0(ゼロ)から作るの真意は、固定概念を除いた率直なキッチン造りとも言えます。
とはいっても、ほとんどの場合が希望や理想があるので、それに準じた話になる事が多いのですが、それも【オーダーキッチン】という視点で見れば、考えと全く違うキッチンでも希望や理想が叶えられる事も多々あるので、『キッチンに合わせて使う』のではなく、『自分にキッチンを合わせる』という事を意識したキッチン造りが出来ます。
お客様例
先日のお客様も、軽い気持ちで見学に来られ、色々と話を聞くとオーダーキッチンで2社、メーカーキッチンで2社ほど見学していて、各社色々なキッチンがあって、どう選べばいいのか。という事を言われ、そもそもなぜ、キッチンリフォームをされるのか聞くと、
「今のキッチン部分をパントリースペースにして収納を多くしたくて、それでキッチンは今のダイニングの場所に移動させる計画で、そのキッチンをどうしようかと検討してます」
とのこと。
位置が変わる=より0(ゼロ)からの思考で考えられる方が良いので、その場合のサイズがどの程度まで対応できるのか、パントリーへの導線やダイニングがどの位置に来るのかなど、様々な事を考えながらキッチンを考えていく。それが既製品を選択する場合は強制的にサイズ・内容が決まり、それに合わせてどう設置するか。ダイニングはこれくらいの大きさになるか。など、決めているようで、実はメーカー側に決められてしまっています。
その場では新しくなる事に満足してしまい、実際に工事後に使ってみると
「やっぱりダイニングはもう少し大きかった方が良かったな・・・」
「もうちょっとキッチンサイズを大きくして、作業場を大きく確保したかったな・・・」
など、あとちょっと。という事が気になってしまう事もあるので、自分で決めたはずが、決められていた事に気づいた時にはすでに手遅れ。となるので、キッチンを見に行く場合も、キッチンだけを見ずに、周りの環境も踏まえてみるようにしましょう。
そして、この方に周りの状況を伺うと
「アイランドで2mほどしか確保できないようで、シンクとコンロを横並びにすると狭いから、どうしようかと思ってます」
通路(導線)をどうするか次第で、ペニンシュラ型にすれば、幅が確保できますし、そもそもシンクとコンロが横並びが必須でなければ、加熱器をカップボード側に設置するⅡ型にすれば、2mのアイランドでも充分なサイズになります。
という事になり『アイランド+カップボード』が『Ⅱ型+カップボード』でも希望が叶えられ、ニオイや汚れの拡散もアイランドにコンロがある事で大変じゃないか。とも思われていたので、そこも軽減出来るⅡ型が優勢な思考になられ、再度建築会社と細かな間取りの検討を打ち合わせします。となり、また後日ご相談頂けることになりました。
キッチンをⅡ型にするとカップボードの収納力は減ってしまう事にもなりますが、パントリーの新設。という事もあるので、収納量がどの程度までパントリーで集約出来るか次第ですが、普段使いの食器などをカップボードに収納できればいい場合は、問題なし。となります。
自由設計
さて、0(ゼロ)からキッチン造りを始めた際に、オーダー出来る良さが発揮され、特にリフォームだとより顕著に出ます。
リフォーム案件の多くで難点になるのは『既存内容が大きく変えられない』事が挙げられます。
新築だと決めるまでは壁の位置や窓・ドア位置も自由に変更が出来ますし、納得できるまで検討が出来ますが、リフォームは既に壁や窓、ドア位置が決まっており、それらを変える大掛かりなフルリフォームもありますが、一般的には部分リフォームの方が多いです。
ここで【オーダーキッチン】がより生きます。
・壁内々の寸法を無駄なく使えるような収納割り付け。
・窓位置を考慮した収納高さ。
・既存設備位置を変えずに対応出来る内部構造。
・素材によって天板奥行拡張。
などなど、既存の状況が細かく分かればわかるほど、それに即した提案が出来、理想に近づく事が出来ます。
キッチンレイアウトが概ね決まれば、細かな収納内容や素材・機器などを決めていく流れになります。
自由設計の良さは『何でも出来る』という事ですが、それが逆にデメリットになる事もあるので、決めるのが苦手な方は、少し打ち合わせが苦痛になるかもしれません。
が、それもメーカーや営業担当によっては意図をくみ取った話し方や提案をしてくれるので、ある程度お任せでも大丈夫な事もあります。(あくまで担当者のレベルがどうか次第ですが)
あと、注意点としては選ぶ内容・選択肢が多すぎて、なかなか決めきらない事や、製作日数も量産メーカーのように数週間で製品が出来る。という事はなく、2~3か月程度は納品までに掛かる事が多いと思われるので、少しでも興味があれば、早めの行動を強くオススメします!
納期の事や悩んでしまって決められない!という方は既製品で選びやすく、使い勝手もある程度良いキッチンも沢山あるので、『オーダーキッチンは選択肢の1つ』くらいの感覚でも場合によってはいいと思います。
コスト(予算)
「オーダーキッチンって高いんでしょ」という事で、知っていても選択肢に入らない事もすごく多いです。
でも、比べずに「オーダーだから高い」というのは少し気が早く、このようにブログやSNSでも価格提示をされていることもありますが、オーダーの場合はパッと見同じようなキッチンでも拘る箇所によっては大きく金額が変わる事があるので、機器や仕様を1つ変えるだけでも、数十万と変わる事もあります。
また最近は物価高や物流コストなど様々な要因で値上げするメーカーも多く、タイミングや内容次第では、一般的なメーカーキッチンで色々と拘りを入れた金額と、オーダーキッチンで同じようにした場合とでは、大きな金額差がない場合も多々見受けられます。
見積を取得するのはタダ(労力は掛かりますが)なので、気になる方はオーダーキッチンメーカーへ見学に行って見積依頼をするべきです!
同じ内容でどの程度の差があるのか。拘りや希望はどの程度叶うのか。
またリフォームされる建築会社でも得意なメーカー・不得意なメーカーもあると思います。
(得意=付き合いが多くあり、値引きの融通が利く。)
多くの場合、この値引きが一般的なメーカーよりオーダーキッチンの方が値引き率が悪いケースが多く、希望小売価格(定価)は同じくらいなのに、実際に買う金額は一般的なメーカーの方が安い。というのは、見せている価格を高く見せ、買う金額は安くさせて『お得に買えている』印象を与える効果があるので、価格に見合う内容なのかどうかは、実際に買う金額(支払う金額)はいくらなのか、比較検討してみても良いと思います。
例えば150万円のA社キッチンで、気に入り具合は60%。B社は230万で気に入り具合は90%。
どちらを選びますか?
気に入り具合30%差が価格差80万に見合うのかどうか。
またキッチンリフォームの場合、キッチン価格+内装工事費用や設備工事(電気・ガス・水道)費用も必要なので、そのあたりも考慮して検討が必要です。
それから「値段が上がる前に早く契約しましょう」という謳い文句は色々な場所で良く聞くワードです。お得に買える良いアドバイスな事もあれば、利己的な背景がある可能性もあります。
このワードで注意しないといけないのは、メーカー側も単純な値上げだけではなく、商品自体もアップグレードされている事もあるので、新旧の違いが価格以上の内容の場合、急いで決めてしまわず、内容をしっかり確認してから決断するようにしましょう。
まとめ
【0から生み出す】【自由設計】【コスト】この3点に着目し、オーダーという選択肢がなかった人も是非、見学だけでも行くことを強くオススメします。
「なんか高級そうだし、入りにくい」
「無理な営業を掛けられないか」
と思われている方、そうお考えの方、心配いりません!
入ってしまえば、楽しくキッチンについてあれこれ話が出来ますし、無理な営業をもしされたとしても、興味がなければ「他社でする事にしたので、ごめんなさい」と断ればそれ以上深く突っ込んでくる人/メーカーはいないと思います。
オーダーキッチンを選択肢に入れる人はほぼ漏れなくキッチンが好きor拘りたい方で、またオーダーキッチンメーカーに勤めている人もほぼ漏れなくキッチンが好き。
好き者同士、話が弾みやすいので楽しい打ち合わせが出来、新たな視点も手に入れられると思います。
私も気が付けば4時間打合せしていた・・・なんて事もよくあるので、お客様のご都合やお疲れ具合を見ながら対応はしてますが、お互い熱量が高くなればなるほど、深い議論や意思疎通が出来るようになり、時間が多く必要になりますので、思い立った瞬間に予約してください。
それにオーダーキッチンだと打ち合わせ期間も長くなる事が多く、また製作日数も多く掛かる場合もあるので、リフォーム予定日程に納品が間に合わず、諦めてしまう人も多いので、まだ先の話でも一旦、見るだけでも見る事をオススメします。
きっと、より素敵なリフォームが出来る大きな一歩になると思います!
コメント