【2世帯】キッチンお悩み相談【収納に困るAさん】

キッチン悩み相談

リフォームを検討中のAさん。
リフォーム会社を決め、キッチン以外の間取りについても概ね方向性が決まり、本題のキッチンをどうしていくか。というタイミングでご相談に来られました。

Aさんはご夫婦で来られ、色々な話をお二人から聞くことが出来たので、どちらの意見にも耳を傾けながら、今までの私の経験や、他のお客様の考え方なども交え、順序だてて話が出来たので、方向性は1度の打ち合わせで大枠決める事が出来ました。

その際の打ち合わせ内容をざっくりまとめ、お客さん目線・キッチン営業マン目線でも見られる内容で、解決策もそれぞれ書いてみました。

■Aさんの状況

【家族構成:ご夫婦とお子様2人とお母様の5人】
【キッチンをよく使うのは奥様とお母様】
【奥様とお母様でキッチンの使われ方が異なる】
【ご主人とお子様もたまに使う】
【現在のレイアウト:L型キッチン+作業カウンター+カップボード】
【収納が苦手で物を乱雑に置いてしまう・出しっ放しになる】
【色々な箇所の衛生面が気になる】

と、このような状況のAさん。
どのように問題解決して進めていくのがいいのか。それぞれ解説します。

状況整理から解決まで

まず初めは『状況整理』を行います。
次に『問題提起』を行った後『意見比較』を行います。
そして『解決策』を導き出し、納得して『解決』して頂く。という流れになります

上記に挙げられた悩みに関して、キッチンで解決出来る事、家全体で解決しないといけない事、またこの先も予測した内容も含め、整理していきます。

【家族構成:ご夫婦とお子様2人とお母様の5人】

お子様がいらっしゃる方で、新築当時はまだ子供が小さかったり、いらっしゃらない事も多く、成長につれ、食器量が増え、食べる量も増えるので食品ストックも必要。
またお弁当であったり水筒であったり、色々と子供専用の物が増えてしまうのは必然です。

それを見越した計画に当初からなっているのが理想ですが、なかなかそこまで先を見通せる人は少なく、今あるキッチンでどうにかやりくりしている。という方が多いと思います。

また今後、子供が大きくなれば、お弁当や水筒が要らなくなったり、食器・食品もそこまで多く必要でなくなる事もありますが、捨てられない方はいつまでも置かれている状況になっています。

なので、ここでは必要な物・不要な物を仕分けつつ、将来を見越して必要な物か不要な物か。を判断していくようにしましょう。

特に収納に困っている方は、あれもこれも使いたい➡結果、物量が多くなる。という事態になっているので、『使いたい物だから必要』ではなく、『必要だから使う物』という購入時の選択を変える必要もあります。

【キッチンをよく使うのは奥様とお母様】

奥様とお母様、それぞれが一緒にキッチンに立つのか。それとも別の時間帯でそれぞれがしたい事を個別にされるのか。に応じて解決策は大きく異なります。

一緒に立たれる場合の解決は『作業同線の効率化』がメインになります。

冷蔵庫・シンク・コンロ・作業スペース・収納。各所へのアクセスが2人キッチンに入っていてもお互いそこまで気を使わなくても作業できているか。出来ていないのであれば、同じ空間で別のレイアウトで解決出来ないか。検討が必要です。

一緒に立たれない場合の解決は『各人が使いやすい内容の優先順位を明確にする』ことです。

今回のAさんは後者で、一緒に立たないけど、それぞれが使うタイミングで使いやすい所に物がないといけない。という事に注力して打ち合わせを進めます。

【奥様とお母様でキッチンの使われ方が異なる】

「シンク下にゴミ箱を置きたい」とAさんが思っていても、お母様が「シンク下は今までずっとよく使うボウル・ザルを入れていたので、そのままが良い」となれば、優先順位は今の使い方からすれば、お母様の方が高いと思います。

ただ「シンク下にゴミ箱を置きたい」の意図がなんとなくではなく、明確な理由があるのであれば、それはしっかりと確認・説明した上で、実際にお母様が使われるタイミングで一緒に作業して、「普段ここに置いているこのゴミ箱がシンク下にあれば便利じゃない?」「ボウル・ザルはこっちの収納でも良くない?」など、コミュニケーションを取って一方的に決めず、どちらの方も満足する方向で話しながら・出来ればキッチンを使いながら進めていくのが理想です。
(そうはいっても、なかなか上手くできない事が多いのが実情ですが・・・)

今回は【シンク下は今まで通り収納。ゴミ箱は作業カウンター下に置けるスペースを設け、使う時だけキャスターで移動できるゴミ箱を設置】で解決◎

常に通路にゴミ箱が出ていて、お母様が移動される際によく当たってしまっていたり、それで転んでしまったりするのは危ないので、そこまで考えた上で、今までと違う使い勝手にされるのは大賛成です!

【ご主人とお子様もたまに使う】

さて、ここで大変なのが『たまに使う人の意見をどこまで取り入れるのか』という事です。

今回のリフォームは、ご夫婦共働きで、お金は折半してされる(詳細なお財布事情は聞きませんが)感じでしたので、拘りたい箇所があれば、それぞれ多めに費用負担する感じだと思われます。
(お風呂を拘りたいご主人とキッチンを拘りたい奥様。のような構図)

お金(予算)に関しては、新築の場合は割とお金の出どころがどこか次第でパワーバランスが決まってしまう事もあり『誰が使うキッチンなの??』と声を上げたい時もありますが、それはそれぞれの家庭事情やそれでも上手くいっている事も多いので、とやかく言う事はしてませんし、結果それで円満であれば、その決め方も悪くはないと思います。

少し脱線しましたが、今回はご主人もたまにですが使われるので、使うタイミングがいつなのか。現状の不満点は何か。を聞き、奥様と同意なのかどうかで、話の進め方が変わるので、キッチン営業マンやリフォーム担当者はそこを間違えずに丁寧に話を聞くようにしましょう。

ご主人は「家電がカウンター上に出ているのが嫌」「乱雑な収納なので、物の出し入れが大変」だったので、概ね奥様の解決したい内容と同意でしたが、難しいのは『家電の位置』です。

使いやすい位置は恐らく今置かれているカウンターの上。で家族みんな慣れているけど、カウンター上以外の選択肢は『カウンター下』『収納の中に入れる』『処分する』か。の3択になります。

奥様は「カウンター上でないのなら、隠したい」するとご主人が「隠すと乱雑になるから、下でもいい」とさっきまで同意だったのが、ふとした瞬間に意見が割れる事もあります。
「下は使い勝手悪いからダメ」と奥様。「隠しても日常的によく使うなら、どうせ出しっ放しになる」とご主人。
このように、なかなか収集が付かなくなることも珍しくないです。

ここでの解決としては、なぜご主人が「家電がカウンター上に出ているのが嫌」なのかについて、理由を明確に聞くことです。

「作業スペースが小さくなり、晩酌の準備がゆったりできない」
「ダイニングから常に家電が置かれているのがよく見えてしまい、汚く感じる」
とのこと。レイアウトは変えない前提の打ち合わせだったのですが、幸いなことに置く場所と見え方の工夫次第で解決出来る内容だったので、何かを少し犠牲にする必要がありますが、全体的な意匠バランスと使う気持ちになっての提案が受けられるのが理想です。

今回は【カップボードの一部をカウンタースペースとして、そこに家電を置く。ただ家電数が多いので、あまり使わなくなった物はカウンター上の棚に収納しておく。収納スペースが小さくなるので、今後使わなく見込みがある家電はこの機会に処分】で解決◎
(今回の処分家電は『ビールサーバーマシーン』と『2台あったホットプレートの1台』)

家電も最近は種類が多くなり、好きな方は家電だけで10台程度お持ちの方もいらっしゃり、置く場所問題と使い勝手問題が常にあるので、よく使う・たまに使うを整理し、それぞれに見合う場所をご家族で考え、置くようにしたいですね。

【現在のレイアウト:L型キッチン+作業カウンター+カップボード】

リフォームで間取りを変える場合、かなり大掛かりな工事+大きな予算も必要になり、またプラン計画も建物によってどの範囲まで変更が出来るのか。という事も変わってきます。

今回は戸建だったので、割と自由度はありましたが、特にご家族みんながレイアウトで困っている事はない。とのことだったので、今の収納内容や使い方で不便を感じている事を重点的に解決する話で進められます。

間取りを変える場合の解決策としては【主観的な見方と客観的な見方、また鳥瞰的にも見る】ですかね。

家族だけで考えてしまうと、思いつめる部分と失念してしまう部分もあるので、出来る。出来ない。はさておき、出来た時に使う人(主観)・使わない人(客観)、また来客の人(鳥瞰)からどう見えるか。という所まで考えられるのが理想です。

【収納が苦手で物を乱雑に置いてしまう・出しっ放しになる】

家電が解決したので、今度は収納の解決。

熱心な方はご自宅の写真を撮影して見せて頂く事もありますし、実際にお宅へお伺いして、内容を見ながら打ち合わせすることもあるのですが、重要なのは『出ている物を収納する場所を決める』この一言に尽きます。

良く出しっ放しになる物としては『調味料』『調理道具』『洗った後の食器』だと思います。

『調味料』に関しては、料理のレパートリーが増えると必然的に多くなり、また調味料によっては入れ替えが必要だったり、ボトルのサイズが様々で収納のバランスが悪くなることもあるので、理想は統一した保管容器で一か所にまとめて収納。という事になりますが、そこまで出来ない。という方は本当に使っている調味料なのかどうか。収納スペースに無駄がないか。今一度見てみましょう。

私自身も、調味料は好きで昔は旅行に行くと、そこのご当地調味料や、様々な地域・味の塩などを買って帰り、楽しんでましたが、忙しくなると料理をしない期間が続き、そうこうしている内に賞味期限を迎える。という事が続いたので、今は使う時に使う物だけ。を意識して買ってるので、調味料が収納出来ない事態は回避出来てます。

『調理道具』に関して、お鍋やフライパン、フライ返しやおたまなど常に使うものは、洗って乾くまでおいて置き、乾くタイミングで次の食事準備で使う。という感じで出しっ放しになるケースと、よく使うので収納するのが面倒。という事もあり、それはそれで効率のいい使い方にはなりますが、片付けたいのであれば、改めないといけない内容です。

道具をオシャレに見せる収納。とする方法もありますが、なかなか一般的には難しい使い方なので、出し入れしやすく、適切なサイズの収納場所を見出す必要があります。

『洗った後の食器』に関しては、1つは食洗機の活用、もう1つは自身で拭いて収納する。あと上級者になると、オシャレに乾かしながら見せる収納とする。なども解決策としてあります。

食洗機はサイズによりお鍋・フライパンが入らない事もありますが、ない方は付ける選択肢。すでに使っているが入らない方は機種の選定を見直す。事で解決できることもあります。

食洗機があれば、概ね解決できる内容も多く、また違う記事で食洗機に関してはオススメしているので、そちらの記事も参考に導入検討頂きたい機器になってます。

自身で拭いて収納。これはなかなか面倒なので、そのストレスの方が出しっ放しより上回っているので、出しっ放しになっているのかなと感じます。

が、一度拭いてみて、キッチンがスッキリする快感があれば、拭く習慣が身につく可能性もあると思うので、まずやってみるのもオススメです。

水切りカゴを置かれている方は特に、洗った後の食器がなくてもカゴが出ている事がほとんどだと思うので、そうであれば雑然と見えてしまい、生活感が溢れるキッチンとなるので、ダメ元でもやってみた方がいいです。

拭いて片付ける習慣が身に付けば、調理後は常に食器と合わせてカウンターや加熱器を拭いたりする事もついでに出来ると思うので、より美しいキッチンを常に保つことが出来ます。

Aさんは『洗った後の食器』と『洗剤類』が常に出ており、また水切りカゴも置かれていて目立っていたので【食器は基本食洗機の活用。また水切りカゴをやめ、吸水マットや水切りプレートなど、片付けが容易に出来るアイテムの使用。洗剤類はシンク内のポケットサイズを大きくしてすべてシンク内で完結できるようにする】事で解決しました◎

キッチンだけで解決できなくても、便利グッズを使うことで解決できる事も多く、特に収納内部は工夫次第で開扉でも引出でも、より効率よく・使い勝手もよく整理整頓できるアイテムも豊富なので、リフォームしない方もそのようなアイテム活用で少しでも快適に使える工夫が出来るのであれば、試してみるのが良いと思います。
※注意点としては、便利グッズで溢れているキッチンはあまり綺麗でない事もあるので、何でもかんでも買って装備するのではなく、必要に応じた選択で無駄な物が増えないように取り組みましょう。

【色々な箇所の衛生面が気になる】

こちらは上記内容でも記載があった出しっ放しになっている物の1つ『洗剤類』でも分かりますが、食器洗剤・手洗い用洗剤・アルコール・キッチンハイター・他にも数種お持ちだったAさん。

話をよく聞くと水切りカゴを置かれていた理由も、「しっかり乾燥しているかどうか、目で見てわからないと気になるし、少しでも濡れていて気付かずに収納してしまうと、そこから菌が繁殖するのでは。という意識になってしまう。」とのことで、衛生面はコロナ禍になってからのキーワードとしてよく上がりますので、ここが気になっている方も多いかと思います。

ここでの解決策は【人体に影響がないレベルがほとんどなので、健康な生活を送られていればそこまで気にする必要がないが、逆に出しっ放しだと乾燥はするがホコリが付きやすかったり、違う汚れが付いてしまう事だってあるので、違う目線でも見る事】を伝え、雑多になっている事の方が衛生的に良くない事も多いので、掃除のしやすい環境造りと、適材適所の洗剤も必要ですが、兼用できる物を選択して物自体を減らす努力も必要になります。

まとめ

今回はAさんのリフォームについて、『収納に困る』と題しましたが、深堀すると、連動して様々な問題点が出てきたり、解決した!と思ったら違う問題点が出たりすることもあります。

レイアウトは大きく変えず、意識を変えつつ、持ち物の整理整頓と何処で誰がどのように使うか。しっかり家族みんなで見える化出来、みんなが客観・鳥瞰的にも見られ、お互いの意思疎通が出来た事が解決できた1番の理由になり、そこから、キッチンメーカー担当やリフォーム担当とのやりとりで形にしていく。という事が出来た好例です。

どこのキッチンを使うにしても、使う人・見る人・招く人、すべての人が『このキッチンで良かった(このキッチン良いな)』となるよう、問題点は色々な繋がりがある事を話しながら解決に向かっている事が大切です。

また『解決した』と感じるのは、最終的には使う方とそのご家族なので、この記事を読んでくれた方が少しでも参考になって、今のキッチンライフがよりよくなるきっかけになれば嬉しいです。

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