【メーカーデザイン】
何を持って『デザイン』と位置付けるのか。その定義は曖昧で、正解がありません。
全ては何かを理由に『デザイン』されてますし、それが見た目の『デザイン』なのか、使い勝手の『デザイン』なのか、それ以外の『デザイン』なのか、見方や使う人によっても意識が異なる事柄ですが、一般的な内容は『意匠デザイン』が分かりやすいかと思います。
今回はそんな『意匠デザイン』について、各メーカーのキッチンを見てみたいと思います。
レイアウト
『意匠デザイン』を語る上で、『レイアウト』は非常に重要で、どう見えるのか。は『レイアウト』によって大きく異なります。
同じ空間でもアイランドキッチンなのか、壁付キッチンなのかで、キッチン自体の見え方もそうですし、空間としての構成も異なるので、変わってきます。
(ここでは外的要因は無視して内部に重点を置いて書いていきます)
壁付キッチンの場合、使用する人も使用しない人もキッチンの使用面が基本見えるので、扉の割付やカラー、素材などがダイレクトに見えます。
アイランドキッチンの場合、使用する人は全面、使用しない人は基本背面しか見えないので、どの面のデザインを重視するのか。という考え方も出来ます。
L型やコの字キッチンはサイズが大きく、キッチンの印象がより強くなります。
他にも様々ありますが、レイアウトについては別途深堀していきますが、今は『アイランドキッチン』が意匠・デザイン的に良く見せやすいので、下記に記載している各メーカーの押しキッチンもほとんどがアイランドキッチンです。
メーカー
キッチンメーカーによって、デザインテイストが異なるので『どのメーカーにするのか』は非常に重要です。
実際に多くの方は見た目のデザインだけで決定はされず、価格も重要な要素ですし、機能性、収納力、使いやすさ、接客内容・対応力、ショールームのクオリティ、他住設や建材との組み合わせ等でも左右される場合がありますが、ここでは主要な国産・海外メーカー各社のデザインについて、見て思った事を書いていきます。
国産メーカー
近年は情報が簡単に手に入る時代なので、あまりメジャーでないメーカーも今後出てくる可能性もありますが、主だったメーカーをざっとご紹介。
国産メーカーは機能+デザインとなることが多いので、機能性のPRが多いですが、デザインの観点から見るとまた違った発見があるので、これからの家造りには欠かせない住設はデザインにも注目しながら比較検討しましょう。
【パナソニック】
家のどこかにはこちらのメーカーの商品があるご家庭が多いのではないかと思う、皆さん周知の大企業、パナソニック。
大きく分けて3シリーズ展開となっており、上位グレードが【Lクラス】(価格136万~)ですが、さらにデザインに関して追求した【Caresa(カレサ)】も22年より販売開始されております。
【Caresa(カレサ)】=【Panasonic x 深沢直人 x ACTUS】という共創パートナーで立上され、キッチンを家具として選ぶユーザーに対してのアプローチをされています。
【Caresa】はキッチン単体で約300万~と高額で、意匠性の拘りが強い方は約500万程度になる仕様もあるので、気軽には選べないですし、ラインナップが少ないのが難点ですが、天板の厚み、パネルの意匠統一(柄も合わせる)もなかなか簡単に出来る内容ではないので、デザイン性は国産メーカーの中でもトップクラスなので、見る価値はあると思います。
※Caresaホームページより引用。
細部まで綺麗に作り込まれているが、内側の天板と扉の間が個人的に気になる。
【LIXIL】
こちらもシリーズは3展開(+車いすに特化した1シリーズもありますが)となってます。
上位グレードは【リシェルSI】(価格101万~)
こちらの特徴はセラミックワークトップが有名です。CM等でもよく見かけました。
※LIXILホームページより引用。
セラミックトップのデザインは少し取って付けたような感じなので残念です。
↓この天板側面とトップの段差が個人的に気になる。
【TOTO】
こちらは2種のグレードで上位が【ザ・クラッソ】(価格110万~)
デザイン性で行くと、薄天板はもちろん、独自開発の『クリスタルカウンター』もあり、好みが分かれますが、そのような特徴的な素材があります。
※TOTOホームページより引用。
『使いやすさを追求しながら、空間調和のさまたげとなる要素をできる限り取りのぞくこと。それが“ノイズレスデザイン”という発想。余分な凹凸や隙間のない美しいカタチがさまざまな暮らしとの調和をもたらします。』と書かれているように、無駄のないすっきりしたデザインが好印象。
キッチンらしさはあるが、生活感はあまり感じられない(使い方次第ですが)デザイン。
【トクラス】
2種のグレードで上位が【Collagia(コラージア)】(約120万~)
『新質感人造大理石「テノール」カウンター』と『テノールカラー扉』で色・質感をカウンターと扉を揃える事が出来る仕様があり、どちらも特許出願中との記載があります。
※トクラスホームページより引用。
天板と扉を色・質感も合わせる事で、統一感あるデザインが出来る。
【タカラスタンダード】
4グレード展開で上位グレードが『LEMURE(レミュー)』
攻めた色合いの扉ラインナップがあり、「スポルテッドビーチ」「ストーンロゼ」など、他ではあまり見ない仕様があります。
また意匠性とともに、ホーロー仕上げで清掃性など含め、好まれる方も多いです。
※タカラスタンダードホームページより引用
パッと見の写真は海外メーカーの雰囲気も感じられます。これがホーローへの印刷で出来ているというのは流石のメーカー努力。
【クリナップ】
3グレードで上位が【CENTRO(セントロ)】(約130万~)
ユニークなシンクデザイン、ステンレス材での拘りラインナップ(7種類)、直近では『バイブレーションダーク』が気になる仕様。
他にもセラミック木目天板やたたき染めをモチーフにした扉材など、国産メーカーの中でも拘り箇所が多く見受けられました。
※クリナップホームページより引用。
このバイブレーションダークのイメージキッチンはカッコいいけど、なんか違うなぁ。という感想を個人的には持ってしまいました。
【ウッドワン】
規格型キッチンも合わせて3グレード。上位が【su:iji(スイージー)】
木製品が得意なメーカーなので、無垢材でのキッチン製作が可能。
内装などと合わせる意匠性も対応で来たりするので、ナチュラルテイストがお好みの方には受けるキッチン。
※ウッドワンホームページより引用。
デザイン面で行くと【FRAME KITCHEN(フレームキッチン)】も玄人向けのキッチンだと思います。
かなり使う人を選ぶキッチンなのでは?と思ってしまうが、他メーカーにはない路線。
埃とか虫とか気にする人は難しいだろうし、置くモノ1つ1つのセンスが問われるので、ミニマリストの方や、デザイナー・建築家・コーディネーターなどセンスのある人に向くキッチンな気がします。
【トーヨーキッチン】
『「住む」をエンターテインメント』と謳っているだけあって、奇抜なデザインキッチンが多くあります。
6グレードあり、上位が【iNO(イノ)】
天板・シンク・把手・機器など、どれも特徴的で他メーカーとは違うキッチンの枠組みという感じ。
※トーヨ-キッチンホームページより引用。
※レイアウトも独自性が強く、V-LANDやQ-LAND、MEGA KITCHENなど、トーヨーキッチンらしいコンセプトのキッチンもデザイン性があります。
他にも個性的な照明やタイル、家具なども扱っているので、メーカーが推す世界観が分かりやすいです。
【クチーナ】
オーダー家具からのキッチン製造も手掛けるメーカー。
オーダーキッチンなので、特にシリーズ等はなく、面材の仕様等でジャンル分けをしている。
※クチーナホームページより引用。
家具ニュアンスの高いキッチンで、インテリア性が高い。
またオーダーなので、細部に至るデザインもある程度指定が出来るものと思われます。
【キッチンハウス】
こちらもクチーナ同様、オーダーキッチンなので、その中では特に区別等がない。
※キッチンハウスホームページより引用。
オーダー系のキッチンは国産でも細かな性能押しではなく、そこでの生活を送る上での視覚的な満足度も高める為の見せ方が海外メーカーに近い感じを受けました。
(それが庶民的な印象に見えるかどうかの差になっているのかな?)
パッケージキッチンも近年、SNS筆頭によく見かけるようになり、インスタのフォロワーも非常に多いメーカー。
※グラフテクトホームページより引用。
海外メーカー
デザインが国内の物とは異なり、何とも言えない美しさを感じる事が出来ると思います。
各メーカー、個性的な内容があり、基本高額になるので富裕層向けなので、一般住宅にはなかなか採用されないが、キッチンに拘る!という方には、一見の価値があり、各メーカーホームページを見ているだけでも楽しいので、参考になるかは別として、眺めるだけでも良いかと思います。
【ユーロモービル】
イタリアのメーカー。6つのコンセプトキッチンで展開。
株式会社F.S.I.が取り扱いしている。
※ユーロモービルホームページより引用。
加熱器前の立ち上がり部も、対面側のOPEN棚も、キッチン天板に乗せているカウンターも、なぜこんなに日本のメーカーと違うように見えるのか、不思議ですが、美しいと思ってしまう。
ホームページの写真、どれも美しい。ので、目の保養で見るだけでも価値アリです。
【ジーマティック】
ドイツのメーカー。4つのコンセプトキッチンで展開。
株式会社エスエムダブリュ・ジャパンが取り扱いしている。
※ジーマテッィクホームページより引用。
こういう細部まで美しいのは流石。『これにお金を使ってもいい!』という方もいるので、高額物件は海外メーカーへ依頼する流れも理解出来ますね。
(国産だとお金を出しても出来ない事があります)
【バルクッチーネ】
イタリアのメーカー。2つのコンセプトキッチンで展開。
クリナップ株式会社が取り扱いしている。
※バルクッチーネホームページより引用。
この天板の薄さと、扉の薄さには圧倒されます。
また閉めた時の収まり含め、洗礼されている。とはこのことを指すと言っても過言ではない。と感じました。
まとめ
如何でしたでしょうか。
一通り見るだけでも相当な時間を要しますし、実際のモノを見ようと思うと、各地域でショールームの有無もあるので、すべてを見て決める事は困難ですが、ある程度はネット上の情報で判断出来る事もあるので、気になるメーカーを3~4に絞って、見学するのが理想かと思います。
デザインを語るうえで、ほとんどの人が聞くワードとしてドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉で
【God is in the details. /神は細部に宿る】
があります。
細部(ディテール)にこだわった丁寧な作品・商品には作者・メーカーの強い思いが込められており、まるで神が命を宿したかのごとく不朽の作品として生き続ける。
という意味合いで、大枠も大事ですが、やはり細かい所の積み重ねで商品が出来上がるので、キッチンも同様に、様々な機器があり、それを受ける本体があり、本体も色々な部材の組み合わせで構成されているので、しっかりひとつひとり確認して、良い・悪い/気に入る・気に入らない/など、判断してください。
単純に『美しい』と思うのも、素材の魅力なのか、機器・機能・性能の魅力なのか、サイズ的な魅力なのか、様々な観点から複合的な要素が絡んで出来上がるモノなので、建物本体もそうですが、キッチン1つをとってみても、これだけ色々なメーカーがある。という事が何より、様々なデザインや意向がある。ということなので、お気に入りの1台に出会えるよう、気になる内容はしっかり確認・問合せして、決めて頂きたいです!
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