キッチンに照明は必要不可欠。
それはキッチン空間のメイン照明だけで事足りる事もあれば、空間やレイアウトによっては間接照明の検討をした方が良いこともあるので、今回は『照明』について書いていきます。
設置場所
キッチンの照明は天井に付ける照明以外にも、換気扇に付いている照明、吊戸の下に付いている照明、その他、内容に応じた間接照明を用いて、作業用や空間演出用など、用途に応じた設置場所が様々あります。
吊戸
吊戸(つりと)=目線の高さより上にある独立した収納の総称で、ウォール収納とも呼ばれている箇所でもあり、一般的な照明はこの吊戸の下に付ける事が多いです。
作業カウンターになる場合もあれば、家電置き場になる事もある。
そんな多目的なスペースに照明があれば、作業する際の手元灯として活躍し、家電を使う際もスイッチの確認や操作がしやすくなったりもします。
ここで見落としがちなのが、メイン照明の計画。
メイン照明が明るいから、手元灯はいらない(予算減額も出来るし)と思っていざ立ってみると、自分自身の影で作業スペースが暗い&吊戸もあるので光が入りにくい事もあり、結果、後付けで意匠性が悪くなったり、出っ張っていたりするとお手入れも必要になったりしますので、要注意。
また吊戸に関しては、下照明だけではなく、上照明もあり、こちらは作業用ではなく、演出用の用途が強い設置場所になります。
「オシャレなバーのような雰囲気にしたい」
「友人・知人が来た時にキッチンスペースをよりよく見せたい」
「メイン照明だと明るすぎるので、落ち着いた雰囲気にするときに使いたい」
など、徐々に採用率が上がっている箇所の1つが吊戸上です。
吊戸下と違って、上に設置する場合はキッチンメーカーで対応するのではなく、建築会社が対応する場合もありますので、設置したい場合はどちらで対応するかは事前に確認しておきましょう。
※キッチンメーカーの場合、対応できる・できない。がある事もあるので注意。
飾り棚
こちらも近年採用率が上がっている飾り棚への照明設置。
飾り棚もガラス扉付の収納や、オープンスタイルの収納などあり、置かれる物や位置、またどう見せたいか。によって照明内容の検討が必要です。
そんな飾り棚はグラスやお酒を並べたり、好きな作家さんの作品を置いたり、集めている食器を並べたり、高価な器を置いたり、それらをどのように美しく見せるか。という事に拘って照明の計画をしましょう。
奥から照らした方が良いのか、手前からか。上からの照明か、それぞれの棚に照明をつけるのか。考えるだけでも楽しいですね。
その他
キッチン周りでは、その他にも様々な場所で照明をつけるケースがあります。
①キッチン足元・対面照明
キッチン足元・対面側に照明を仕込み、演出効果を高めたり、足元の掃除をする際にしっかり見たい方向け。
イメージ写真では青色の照明で演出しており、クールな空間演出が出来ています。
②収納内部照明
先ほどの『飾り棚』の収納ではなく、普通の扉や引出に付ける照明です。
海外では割と事例が多いですが、まだ日本では対応できるメーカー含め、実績も少ないのが実情。
贅沢機能ですが、収納内部がより見やすくなり、使う度に照らされるお気に入りの食器や道具などを見ると、より楽しくキッチンに立てると思います。
色温度
色温度は単位が『K(ケルビン)』の数値で表される照明の色の違いになります。
その中でも代表的な名称の色は4種『電球色』『温白色』『昼白色』『昼光色』で区別される感じです。
<代表的な色温度>
2600~3250K(JIS)[例.2700K] 電球色:赤みがかったあたたかみのある光色。
3250~3800K(JIS)[例.3500K] 温白色:電球色と昼白色の中間色で、ややあたたかみのある光色。
4600~5500K(JIS)[例.5000K] 昼白色:さわやかな白い光色。
5700~7100K(JIS)[例.6500K] 昼光色:日中の自然光のような、青みがかった明るい印象の光色。
キッチンでは主に『電球色』『昼白色』の採用が多いので、その二点を説明します。
『電球色』2600K~3250K
あたたかみのある色合いで、演出効果が高く、落ち着いた空間になる色温度。
キッチンでは演出効果を高めたい際や、優しい空間にされたい時に使用することが多く、ダイニングやリビングなどが電球色だと、LDKで統一して電球色にします。という方が多いかなと思います。
『昼白色』4600K~5500K
自然な光に近い色で、調理スペースの作業効率を上げたり、見る色が本来の色になるので、調理中の焼き具合や盛り付け時の見え方など、より自然に近い中で見たいシーンに使用するのがオススメです。
換気扇は基本的にはこの『昼白色』になっている事が多く、オプションで『電球色』にすることもできる商品もありますが、特殊な要望がなければ『昼白色』がいいと思います。
※フードの下は加熱器スペースなので、焼き色の確認などは『電球色』より『昼白色』の方がしっかり確認出来る。
それぞれの色温度で使用感や意匠性が異なるので、どのように使いたいか。見せたいか。を考えて選定しましょう。
その他
最近は『調光』や『調色』機能付きの照明もあるので、使用状況に合わせて切り替えての使用が出来る商品もあれば、赤や青といった特徴的な色の照明を採用される方もいらっしゃったりします。
このあたりはまだ深く浸透はしておらず、対応出来る照明器具も少ないですが、最近では『ゲーミング』と名の付く空間に、特徴的な照明(お好みの色や形状)を入れて空間を楽しむ方もいらっしゃるようで、今後の需要に対して商品数が増える可能性は大いにあると思います。
個人的意識
私が提案時に意識しているのは、キッチン単体で考えない事。です。
実際のキッチンはショールームで見るものと内容はほぼ同じでも間取りやキッチンの位置、窓の取り方や全体の照明計画もあるので、キッチンだけで見たら必要だ!と思って付けたけど、実際に照明を使う頻度がほとんどいらないくらいに明るい場合があったり、また逆も場合もあります。
キッチン単体で考えず、キッチンスペースからダイニング・リビングの事、また間接照明を検討される方は他の空間についてもどのような演出をするのか次第で、あまり間接照明を入れ過ぎるのもどうかな。と思ったりもするので、好みの問題もありますが総合的な判断が必要です。
また夜作業する際は照明が必要ですが、日中は自然光で十分。なケースも間取りによってはあるので、夕方からお仕事の方や日中しか作業しない方だと、照明はほぼ使わない。という事にもなるので、生活リズムも含め、全体的な俯瞰の目で見るようにしましょう。
あと、抜けがちなのが『スイッチの位置』です。
使い勝手の悪い所にある場合、ON/OFFが面倒で使わなくなったり、センサーにしたために、不要な時にも照明がついたり、勝手に消えたりしてしまう事もあるので、どのようなシーンで使ったり、切ったりしたいか。同線計画も含め、確認しながら検討進めるようにしましょう。
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