キッチンを構成する機器を知ろう【換気扇:フード】

これからのキッチン

レンジフード:コンロの上にあるニオイや汚れた空気を外部に出すキッチン機器です。

昔は『換気扇』と言われていましたが、今は『レンジフード』という名称が一般的で、名称違いで意味合いが違う事もある(プロペラファンとシロッコファン)ので、リフォームされる際は今どのようなファンが付いているのか、確認が必要です。

今回はそんな『レンジフード』について解説していきます。

機能

加熱機から出る蒸気やガス、ニオイなどを排気する機能での比較より、おそらくキッチンを使う人のほとんどが思うのが『清掃』の機能が充実しているかどうか。という事を最重要視されるかと思います。

清掃性

レンジフードは汚れた空気を外に出す機器なので、当然汚れます。
家族構成や好きな食べ物(よく作る料理)、料理される回数にも左右されますが、汚れないレンジフードはありません!

汚れが落としやすく、汚れてもお手入れがしやすい。そんな機能を求める人が圧倒的に多いです。

そんな方は恐らくご存じかと思いますが、最近は自動でファンが洗える機能が付いていたり、フィルターがない『フィルターレス』であったり、内部の構造がシンプルで凹凸や溝がなかったり、ファンの脱着が容易な商品まで、様々あります。

また、フィルターが付いていても特殊なコーティングがされていて、汚れが落としやすい物もあります。

国産キッチンメーカーはこの『清掃機能』を売りにして販売しているケースも多く、そのメーカー限定のレンジフードもあったりすので、レンジフードを決めると必然的にキッチンメーカーが決まる場合もあります。※他にも加熱器や水栓などもキッチンメーカー限定商品があったりします。

清掃についてよく聞かれるのが、「市販のフィルターをフードに取り付けてもいいのか」という事と「ファンは食洗機で洗ってもいいのか」という事。

 

「市販のフィルターをフードに取り付けてもいいのか」

フードメーカーの回答は基本的にオススメしない。となっており、下記2つの理由があります。

①排気能力が別材のフィルターを付ける事で損なわれる可能性があり、本来外に出るはずの汚れた空気が排気されず、室内にとどまる可能性がある。

②モーターに負担が掛かってしまう可能性があり、フード本体の寿命を縮めてしまう可能性がある。

なので、フードに付属してある機種はそのフィルターのみの利用、レスのタイプはそのまま何も付けずに使用頂くのが理想です。

「ファンは食洗機で洗ってもいいのか」

こちらは機種により違いがありますが、基本的にオススメしない。となっており、下記1つの理由があります。

①特殊なコーティングを施し、油汚れなどが付着しにくくなっており、付着しても簡単に落とせるようになっているが、食洗機に入れる事でそのコーティングが剥がれてしまい、汚れが付着しやすくなる可能性がある。

ファンの食洗機対応可。の商品だと問題ないですが、基本は不可だと思った方が良さそうです。

コーティングが剥げてもいいから、楽をしたい。という方は洗ってらっしゃる話も聞きますが、そのあたりは自己判断でお願いします!

その他

基本的には『排気能力』と『清掃性』が主な内容になりますが、その他の機能としては、『同時給排』があります。

これは最近、高気密な住宅が多くなり、レンジフードの排気を使うことで空間が負圧になり、扉が開けにくくなったり、排気能力が落ちてしまったりするのを防ぐために、排気するのと同時に給気も行う機能です。

言い方が悪いかもですが、昔の家はそこまで機密性が高くなく、すきま風が入る。なんて言われ方もするので、排気をすれば自然とどこかから給気がされている状態だったのが、窓や建具の性能が向上したことで外気が入りにくくなっている建物が増えた結果、この同時給排機能があれば、気にせず本来の排気能力も確保して使用していただくことが出来ます。

高気密住宅や高層マンションなどでは、ほぼ必須となる機能なので、新築時はあまり気にしなくても良いかもですが、リフォームをされる際は、間違えないように依頼や現場確認をしてもらうようにしましょう。

それから、必ず付いているのが『照明』になりますが、最近の商品はほとんどがLEDになっているので、レンジフードの寿命と照明の寿命がほぼ同じくらいなので、電球の交換が不要になった事も大きいです。
(昔のフードだと電球が切れて買いに行く際も、ちょっと特殊な内容だったりすると本体を持っていかないと買えなかったりします)

あと、レンジフードの設置位置でも排気能力が変わることがあるので、あまり外から遠い位置に設置すると、吸い込みが悪くなり性能が落ちてしまうので、間取りを考える際には注意が必要です。

デザイン

まずは機能の特に『清掃性』というのがポイントになりますが、次に重要になってくるのが『デザイン』です。

レンジフードはキッチンの形状(レイアウト)に応じて3種類に大きく分類されており、『正面壁付タイプ』『側面壁付タイプ』『天井付タイプ』になります。

『正面壁付タイプ』

こちらはコンロに立って正面に壁があるレイアウトの際に利用するタイプで、一番種類が多いタイプになります。

壁付I型キッチンや、Ⅱ列型キッチン(コンロが壁付)、L型やコの字型でもコンロ正面が壁になる場合にはこちらを選択する感じです。

種類が多く、またレンジフードを単体で見せる事も出来るし、吊戸がある場合は吊戸と一体化させるような事も出来るので、見せ方も様々です。

『側面壁付タイプ』

こちらはコンロに立って左右どちらかが壁の場合に利用するタイプで、主にペニンシュラ型キッチンでの採用となります。

特に特質した点はないですが、壁から横方向に伸びるので、カラー選定や接する壁の意匠選定が重要になります。

『天井付タイプ』

こちらは天井から吊り下げる際に利用するタイプで、主にアイランド型キッチンでの採用となります。

開放的な空間にドン!と現れるので、機能も大切ですが『側面壁付タイプ』同様に【使う・見る】両方の内容を加味して、特に『デザイン』に対しての意識を持ってもらった方が良い設置タイプです。

厨房のような箱型もあれば、薄いシンプルな逆T型もあるので、キッチンデザインやダイニングやリビングから見た時の美しさなど、空間に馴染ませるか、逆に主張させるのか。どうしたいかはあなた次第です。

特殊タイプ

基本は上記3つが主流ですが、変わったレンジフードとしては『天井・壁埋め込み型』や『昇降式レンジフード』などもあります。

昇降式は数に限りがあり、有名メーカーではガゲナウの商品があります。

天井埋め込み型はキッチンメーカー対応ではなく、建築工事対応となりますが、かなり空間としてはスッキリします。

toolboxで天井スリットファンの商品があります。

どちらもレンジフードを極力見せない。というデザインを取る為、本体の清掃が少し大変だったり、設置する際の条件が厳しかったりする場合もあるので、一般的にはまだ普及してないですが、これからの可能性を感じる機種なので、もっと商品開発が進み、使いやすくなることを個人的には期待してます。

個人的考え

レンジフードはお手入れをサボればサボるだけ汚れが固着してしまい、後々大変になるので、日常的にメンテナンスが必須です。

他の機器は使う時の工夫でどうにかなる事もありますが、レンジフードだけは汚れた空気を外に出す。という性質上、どうしても汚れます。

よく聞くのが「付いているフィルターとは別で汚れたら捨てられる簡易フィルターを付けてます」という方が多くいらっしゃいますが、上記項目でも記載した通り、個人的にもあまりオススメしてません。

レンジフードは汚れにくくなる代わりに、キッチン空間が汚れてしまう。という事に繋がり、本末転倒だからです。

油を含んだ汚れた空気がお部屋に広がると、家具や照明もべたついたり、ニオイが付いてしまったりするので、その部分に関しては『清掃性』より本来の『排気機能』を損なわない対策で日々過ごすのが良いのかなと思います。

なかなか日々のお手入れをしない事が多いレンジフード。大掃除の時に見て唖然・・・。
とするより、最低でも1週間に1度は外側の拭き掃除。1か月に一度は内部までチェックして拭き掃除する事で、しつこい汚れが付く前にすれば、問題解決です。

どうしても面倒な方は、大掃除の際に必死で対応するか、コストは掛かるがプロの清掃を呼んで対応してもらうか。という感じでしょうか。
(という私自身もフードのお手入れはサボり気味で、気が付くと2~3か月経過しており、汚れが落ちにくい経験をしているので、マメにならねば、と日々反省してます)

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