キッチン営業歴12年超えの私が思う『理想的なキッチン営業とは何か』をお伝えします。
基本的に【営業担当】と言っても、メーカーによっては個別営業が対応せず、ショールームスタッフが打ち合わせなど対応し、その情報を営業に引き継ぎ、営業が各ハウスメーカーや工務店に情報共有する事もあります。
また、個人でされているキッチン屋(造作メーカー)は、一人で営業から設計、施工まで対応されることもあるので、どの場面でもその人に関わる事があります。
なので、ここでは【営業担当】として記載してますが、実際に打ち合わせする『スタッフ』の事と理解いただければ問題ないです。
今回の内容はお客様向けというよりは、営業・ショールームスタッフ向けの内容になるかと思いますが、一般の人でも業務に役立つかもしれないので、見て参考にしてもらえたらなと思います。
では、さっそく、『理想的なキッチン営業とは何か』について、私が思う重要な3つの要素について解説していきます。
レスポンスの良さ
『出来る営業=忙しい』というのは相互関係になっている場合も多いですが『忙しい=返答が遅い』とはならないのが、出来る営業だと思います。
打合せ以外のレスポンスも大事ですが、打合せ中のレスポンスも重要で、即座にお客様の要望に対して、自社商品だとどのような提案が出来、結果、お客様の生活がどのようになるのか。まで提案段階で見せてあげる事が出来れば「この人に任せたい」となり、契約に結び付くと思います。
やはり、キッチンについて詳しくないお客様が時間を作ってわざわざ来店されているので、こちらはプロとしての対応をいかに時間を掛けずに打ち合わせを進めるか。ダラダラとした打合せになるのは、どちらにとっても良い事がありません。
ただ、お客様の中にはスローペースの方もいらっしゃるので、その場合はあまりレスポンスが早いと、逆に急かされているようで居心地が良くなくなる事もあるので、人を見て、喋り方を見て、どう進めるのかはその場その場の判断になります。いわゆる『空気を読む』ですね。
これは私も今まで様々なお客様と打ち合わせをする中で、終始機嫌が悪く、何を話しても反応なく、色々と話を展開させ、少しでも楽しんでもらいたい。喋ってもらいたい。と考えながら進めたが、そのまま退店され「違うメーカーで決められるかなぁ」と思っていたことがありました。
すると後日「改めて打ち合わせがしたい」と連絡があり、再度ご来店され、その時に
と事情を話していただき、私の接客がつまらないものだったのではなく、逆に再度打ち合わせ熱を出していただけたきっかけになった事もありました。
このような経験をしたので、『打ち合わせはしんどい』ではなく、『打ち合わせは楽しい』と思ってもらえるような掛け合いや話の展開などを常に考え、対応していきたいですね。
聞き上手
世間一般的に【喋り上手】が売れる営業という印象があるかもしれませんが、個人的には喋り以上に【聞き上手】が『営業』や『ショールームスタッフ』には求められる能力だと思ってます。
説明することが仕事ではなく、むしろ聞く事が最重要な仕事で、それが出来なければ、満足のいく提案が出来ないどころか、希望や要望が叶っていない提案になる事だってあります。
単純な物売り営業だと、いかに喋って、相手の選択肢を狭め、これじゃないといけない。と思わせる話術が必要な事もあります。
キッチンも同じように物売りになると「このキッチンは、〇〇のような使い方が出来るので、お勧めです」と端的になり、この説明では購買意欲が沸かない事が多いと思います。
しかし、いきなり初対面の人から色々と話を聞くのはハードルが高いものです。
①とりあえず商品説明に走ってしまい、散々説明した後で、お客様があまり楽しそうでなかった。
②逆に、すぐにあれこれ質問してしまい、お客様を疲れさせてしまう。
このような流れになるのが、一番ダメなパターンで、上手く①と②を相手の反応や発言に耳を傾けながら、自然な流れで気持ちよく案内し、しっかりと要望や希望を合間合間に聞き、最後にそれらをまとめて提案書に落とし込む。事が理想です。
お客様は迷われている事がほとんどなので『商品説明』をしながら『今の状況』や『希望』を質問し『それならこうなります』と展示や事例・カタログ等で具体的に説明し、お客様のリアクションを見る。
良い反応の場合は更に深い説明をして、イマイチな反応だったら、『これは違いましたね』など共感しながら違う提案、逆の提案に切り替える。
また、気難しいお客様もいらっしゃったり、お子様が小さく、打ち合わせに集中出来ないシーンもあるかと思いますが、説明しても聞いてもらえていない。という事も多く、そんな場合も【聞き上手】の場合、こちらの説明よりお客様の希望・要望がしっかりと聞けたら、良い提案が出来、結果次回来店にもつながり、改めて説明できる機会にも恵まれるので、聞くことに徹してもいいと思ってます。
【聞き上手】で、尚且つ『ゴールが見えている』という事も重要です。
単に聞くだけなら誰でもできます。
営業は聞きながら、お客様が求めているゴール(終着点)がどこなのか。何なのか。
見極める必要があります。
まだ先の計画のお客様に対しては「決める」ことがゴールではなく「心構えを作ってもらう」事がゴールですし、すぐに決めないといけないお客様は「決める」ことがゴールになります。
提案力
上記2点に加え、これが出来ればほぼ完璧です。
【レスポンスの良さ】で相手を引き込み【聞き上手】で相手の情報を正確にキャッチし【提案力】で決めてもらう筋道を立てる。
ここでの提案力は自社の商品内容をどのようにお客様に提案すれば、満足頂け、気に入って頂けるか。ということです。
どんなにクオリティが高いプレゼン資料や、魅力的な価格でも、気に入ってもらえなければ、採用に至る事はありません。
それに『デザイン』を求めている人に様々な『機能』を盛り込んだキッチンを提案してもダメだし、『機能』を多用したい人に、とがった『デザイン』を提案しても気に入ってもらえない。
なので、聞いた情報を自社商品で叶うベストな選択を提案する。それに注力しましょう。
(どちらかだけ特化するのも、後々クレームになったりするので、注意が必要ですが)
また商品の提案だけではなく
「このキッチンを使えば、こんな生活が待ってますよ」
「ご家族で楽しく過ごされるのが見えるますね」
なんていう導入後の風景まで見せられるレベルまで到達できれば、素敵ですね。
提案で大事なのは『自分も使うことを想像して楽しめる』かどうか。
ほとんどの人が自社キッチンを好きだと思います(違う?)ので、その好きなキッチンを沢山のお客様に使ってほしい。そして同じ使うなら楽しく使って、快適に過ごして、長く使ってもらいたい。
そんな想いもあると思うので、自分が相手の立場に立って物事を考え、提案に加えることでより近い存在になり、親身になってくれている。と感じてもらえるはずです。
既製品の場合は、商品ラインナップを覚え、都度お客様のご要望に適した商品群を選択し、提案する流れとなりますが、オーダー品の場合はこの【提案力】がないと、全く意味を成さないので、今までの経験や自身の体験も踏まえなければいけないので、一朝一夕ではなれず、早くても2~3年の経験は必要になるかなと思います。
まとめ
【レスポンスの良さ】=相手のリアクションや興味・動向に応じた臨機応変な素早い対応。
【聞き上手】=説明に重きを置きすぎず、相手の言動をしっかり見聞きし、それに対する相槌を相手に分かるように行う。
【提案力】=お客様が望む価格・仕様・機器要望x自社のキッチンの魅力が最大限に生きる商品の組合せを提案する力。
これら3つが合わされば、きっとお互い満足し、素敵な生活を送っていただける営業が出来るのではないかな。と思ってます。
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